バンダイ深掘コラム「夢・創造人」

2020年12月28日

Vol.14 「ころがスイッチ」シリーズ企画開発人<後編>~子どもたちが夢中になれる玩具を作り続けたい~

バンダイの新しいプログラミングトイとして人気を集めている「ころがスイッチ」シリーズ。後編も企画担当であるカテゴリーデザイン部の加松に話を聞いていく。今回は、加松のバンダイへの入社からこれまで、そして仕事の取り組み方にフォーカスしていきたい。 >>前編はこちら

カテゴリーデザイン部 加松寛子

バンダイへの入社、
はじめての企画

加松はバンダイに入社後、まず商品の仕入業務を行うチームに配属され、ものづくりの流れを学んだ。その5年後、「それいけ!アンパンマン」の商品企画を行うチームに配属された。最初の企画は「アンパンマンタウンシリーズ」内のハウス商品だった。“アンパンマンのショッピングモール”など、ドールとミニチュアで遊ぶ幼児向け玩具シリーズを担当した。当時は何もかもが初めての経験で、「どんなときでも商品のことを考え続ける」という環境に衝撃を受けたという。

幼児向け玩具を企画するうえで気をつけていることについて尋ねると、加松は次のように語った。

「安全性や遊びやすさはもちろんのこと、子どもたちが無我夢中になって繰り返し遊ぶような『わかりやすい楽しさ』を提示することは常に意識しています。」

こういった“おもちゃづくりの基本”をこのチームで学ぶことができたと加松は語った。

玩具開発者としてのテーマを見つけたおもちゃショーでの光景

加松が玩具開発者として大きな影響を受けたのは、「東京おもちゃショー」だ。東京おもちゃショーは、関係者のみが入場できる「バイヤーズデー」と一般向けの「パブリックデー」があり、「パブリックデー」は親子連れで満杯になる。入社直後の加松は、玩具体験コーナーに集まる大勢の子どもたちを初めて目の当たりにし、大きな衝撃を受けた。

「たくさんの、本当にたくさんの子どもたちが玩具を前にひたすら夢中になって遊ぶ。その姿には強い衝撃を受けました。このたくさんの子どもたちが私たちの1つの玩具に本当に魅了されている。ああ、この子たちを夢中にさせる『お気に入り』を自分の手で作り出せるようになりたいと、そのときに強く思いました」と加松は語った。

その翌年に、加松が企画担当をした「磁石でパチッと!ひらめきキューブ」という商品がおもちゃショーの体験コーナーに置かれた。ブロック系の玩具で、キューブが磁石でパチパチとくっつく気持ちよさと、さまざまな形にできる知育要素のある玩具だが、この玩具で遊ぶ子どもたちの姿に大きな達成感を感じたという。企画職に就いて2年目にして最初に夢見た風景を実現させた加松だが、子どもたちが実際に遊ぶ姿は、次なる玩具のアイデアへと繋がった。

大事なのは「子どもたちがどう遊んでくれるか」

「バンダイ社員は楽しんで玩具を作ってるんです」と加松は語る。「子どもたちが楽しめる玩具を、作る側も楽しんで作る」—その姿を目の当たりにしたからこそ、加松はバンダイへの入社を希望した。

「子どもたちが夢中になれる玩具を作りたい」、その情熱がさまざまなアイデアを生み出し、多くのスタッフと企画を磨き、実現させている。

加松が大事にしているのは「遊んでいる子どもたち自身の気持ち」。玩具作りは大人の仕事だから、多様な意見があり、正解も1つではない。しかし、そのなかでも一番大事な「子どもたちが楽しんで遊んでくれるか」という視点は常に意識している。「どう楽しんでくれるか、どう響くか、学んでくれるか、消費者目線で子どもの気持ちを一番に考えたいです」と加松は語った。

子どもの玩具は親が買い与えるものだが、3、4歳になれば子どもは「これが欲しい」という明確な意思を示し始める。玩具開発者として自分の気持ち、想い、挑戦心はきちんと大事にしながらも、使い手である子どもの気持ちを常に大事にしたい。作り手としてのこだわりは「子どもたちへの想い」というところだ。

まだまだ進化する“定番玩具”としての「ころがスイッチ」

長く愛されるいわゆる「定番商品」を生み出したい、というのは玩具業界でも強く求められる。バンダイでは「ドンジャラ」や「たまごっち」など、世代を超えて、さまざまなキャラクターで展開できる玩具があるが、加松が所属するカテゴリーデザイン部も、“新しい玩具カテゴリーを創出する”ことを目標とする部署だ。だからこそ「ころがスイッチ」に対する期待は大きい。

「ころがスイッチ」は「ドラえもん」に続き、「ポケモン」へとキャラクターを広げた。ひみつ道具スイッチなどのギミックを変えてのシリーズ展開、DXセットといった組み合わせでのラインナップの拡充など、商品を「大事に育てる」ことを考えながら展開している。

ころがスイッチドラえもん 
ボリュームデラックスキット
商品ページ:
https://toy.bandai.co.jp/series/doraemon/item/detail/11616/

「どう進化させていくか?」は今後の大きなテーマだ。「ころがスイッチ」のヒットは部内に新しい活気をもたらしている。今後どのような進化を見せるか期待をして欲しいと加松は語った。

コロナ禍で制限される遊び手たちとのふれあい

「子どもたちが夢中になるヒット商品を生み出したい。生み出し続けていきたい」—これが加松の原動力だ。人が大人になった時に子ども時代を振り返って、「ああ、自分はこの玩具が大好きだったな」と思う。そんな玩具を作り続けたい、と加松は語る。

だからこそ子どもたちの反応は気になるところ。おもちゃショーの体験コーナーも多くのことが得られる場所であり、玩具店での店頭体験イベントなども子どもたちの反応が見られる場所。しかし今年は新型コロナウイルスの感染防止の自粛を受け、こういった機会が制限されている。その中でも子どもたちへの思いは大事にしたいという。

子どもはまだ経験が少ないだけに玩具との出会いで受ける衝撃は大きく、その反応はとてもはっきりしている。「こんなに楽しいものがあったのか!」というその表情や声、仕草からあふれ出る想いは、強く伝わり、見ている者の心を強く動かす。加松はだからこそ「感動を与え続ける商品を」、と思うのだろう。

これからも加松がどんな感動を生み出してくれるのか、期待したい。

©Fujiko-Pro,Shogakukan,TV-Asahi,Shin-ei,and ADK

『ころがスイッチ ドラえもん』公式サイト:
https://toy.bandai.co.jp/series/doraemon/corogaswitch/

『ころがスイッチ ポケモン』公式サイト:
https://toy.bandai.co.jp/series/character/pokemon/corogaswitch/

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