2020年12月11日
2019年に第1弾が発売された「ころがスイッチ」シリーズは、レールとブロックでコースを作り、ボールをゴールまで転がしていく「アナログプログラミング玩具」だ。今回、本シリーズの企画担当であるカテゴリーデザイン部の加松に話を聞いた。 >>後編はこちら
目次
ボールを転がす楽しさと
「ひみつ道具スイッチ」が
融合した面白さ
「ころがスイッチ ドラえもん」シリーズの基本をここで説明したい。本シリーズはゴールである「ドラえもん」にボールを届けるのが目的となる。ボールが転がるようにレールとブロックで足場となるコースを組み上げていく。
ブロックはお子さまの小さな手でも簡単に接続でき、ボールをスムーズに転がすことができる。その機構の開発にはかなり苦労があったというが、そのおかげで商品の良かったポイントとして「コースを作ることの楽しさ」を1番に上げるお客さまが多いという。
シリーズは最初に「ワープキット」と「ジャンプキット」という2つのセットを発売した。それぞれ付属の「ひみつ道具スイッチ」が異なっており、ワープキットはボールが移動しワープしているように見える“どこでもドアスイッチ”、ジャンプキットは坂道の終端にある“空気砲スイッチ”で玉がジャンプするギミックが人気とのこと。ほかのひみつ道具スイッチも“ボールの動き”で表現させる面白さがある。こういった要素がユーザーの反響を呼んだと加松は語った。
子どもの成長に合わせた
プログラミングトイ
次に、本商品が生まれた経緯について尋ねた。2017年に発売した液晶モニター付きタブレット玩具『ドラえもんひらめきパッド』が人気を集めたため、「ドラえもん」というキャラクターと学習しながら遊べる「知育玩具」の相性の良さを実感し、「次はアナログ玩具で」というところが企画の発端だという。
加松はこの『ころがスイッチ ドラえもん』の企画が固まり、発売へ向けて調整している段階で企画担当としてチームに加わった。実際に商品で遊び、確認しながら自らもプログラミングに頭を悩ませたというが、これも子どもたちへ「試行錯誤する楽しさ、失敗を克服する楽しさ」を提示できるきっかけになったとのこと。
『ころがスイッチ ドラえもん』は年齢によって遊び方が変わってくるという。3歳くらいの時はお父さん、お母さんが作ったコースにボールを転がして楽しみ、5歳くらいになると徐々に仕組みを理解し、今度は自ら凝ったコースを意欲的に作るという傾向が強くなる。
そして、子どもはやはり「好きなスイッチ」にこだわる。最初はそのスイッチだけをメインで使用した短いコース、そこから徐々にコースを長くしてスイッチを頭の方に持っていったり、クライマックスに配置したりと、コースにもそれぞれの個性が強く表れるという。
これまでの知見を活かして
加松が作り上げた
「ボックス ステージキット」
加松が商品企画の際に意識したのは「ドラえもんの不思議感」。ドラえもんのひみつ道具ならではの立体的で面白いアクション、それを見た時の驚き……
「前任者がこだわっていた部分ですし、だからこそ、そのクオリティは落としてなるものか、そう思いました」と加松は語った。
2020年の夏に発売した「ボックス ステージキット」、「ボリュームデラックスキット」は加松が最初から企画に携わった。特に「ボックス ステージキット」はそれまでにお客さまからいただいたご意見やご感想をヒントに改良を加えた。その工夫の1つが、「商品パッケージのフタを土台として活用すること」。「ボックス ステージキット」はその名のとおりパッケージがボックス形状になっているのだが、フタ部分はパーツを取り付けられるような穴があり、コースづくりに活用できる。
「ポケモン」の世界を再現!『ころがスイッチ ポケモン』
そんな「ころがスイッチ」シリーズの最新作は『ころがスイッチ ポケモン』。ピカチュウのワザ「でんこうせっか」でボールが加速したり、カビゴンが道をふさいでボールの進むスピードが遅くなったり、ポケモンのキャラクター性を活かすものから、ボールを勢いよく仕掛けに落とせば2つのモンスターボールが作動するギミックなど、「ポケモン」の世界を活かす工夫が込められている。より元気な、“勢い”のあるボールの動き、というのもこれまでのシリーズにはない新しいポイントだ。
商品紹介動画でボールの動きの面白さ、コース作りの面白さをアピールしたところ、お客さまからも大変ご好評をいただいているという。
キャラクター性をギミックに活かすことで
バンダイならではの定番ブランドへ!
加松の所属するカテゴリーデザイン部は新しい遊びのカテゴリーを創出し、世代を超えて遊ばれる玩具を生み出すことを目標としている。だからこそ「ころがスイッチ」シリーズは大事に育てていきたいという想いがある。
「ブロックとレール、そして動きが楽しいスイッチでコースを組み上げていく楽しさは、実際に遊ぶことで見た目以上に大きくなります。うまく転がすことができるか試行錯誤が本当に楽しい。親御さまからお子さまに“考える力”を育む玩具としてもオススメです。ぜひ体感していただければと思います」。読者へのメッセージとして加松はこう語りかけた。
キャラクターの世界観を楽しみながら、そして試行錯誤しながら問題解決することの面白さを学べる「ころがスイッチ」。今後の展開にも注目したい。
©Fujiko-Pro,Shogakukan,TV-Asahi,Shin-ei,and ADK
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon
『ころがスイッチ ドラえもん』公式サイト:
https://toy.bandai.co.jp/series/doraemon/corogaswitch/
『ころがスイッチ ポケモン』公式サイト:
https://toy.bandai.co.jp/series/character/pokemon/corogaswitch/
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