2020年9月18日
今年7月に東映とバンダイの共同事業として、東京駅一番街・東京キャラクターストリートにオープンした、世界初のオフィシャル仮面ライダーグッズショップ「仮面ライダーストア東京」。9月からは新番組「仮面ライダーセイバー」が始まり、さらなる注目を集める同店舗について、今回は店舗の全体運営を取り仕切るアジアトイ戦略部 マーケティングチーム 鈴木健司に話を聞いた。「仮面ライダーストア東京」の工夫や、目指すところ、込めた想いなどを掘り下げていきたい。 >>後編はこちら
予想を大きく超え、
好評なスタートとなった
「仮面ライダーストア東京」
「仮面ライダーストア東京」は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言解除等を受け、開業することを決定した。スタート時にはさまざまな不安があったという。しかし、それらは杞憂に終わり、オープン後は計画を大きく超える来客者数と売り上げを記録した。コロナ禍ということを感じさせない好調なスタートとなったという。
「東京キャラクターストリート」はウルトラマンやポケモン、TV局のアンテナショップなどのブランドが出店しており、「仮面ライダーストア東京」はその中の1つとなる。
“世界初の公式ショップ”という看板を背負うことから、日本全国、そして海外からも観光客が集まるターミナル駅である「東京駅」には最初から注目していたという。「仮面ライダーシリーズ」を世界に発信するグッズの秘密基地として「仮面ライダーストア東京」はオープンしたのだ。
「仮面ライダーシリーズ」の最初のTV番組「仮面ライダー」が放送されたのが49年前の1971年。今や「仮面ライダー」のファンは、親・子・孫と3世代にわたるコンテンツとなった。このことから、「仮面ライダーストア東京」はオールターゲットを掲げ、3世代が楽しめるショップづくりを目指しているとのこと。
また「仮面ライダーストア東京」は、“つなぐ”というコンセプトがある。「仮面ライダーでお客さまとショップをつなぐ」、「昭和、平成、令和の仮面ライダーファンをつなぐ」、「かつて仮面ライダーが好きだった過去の記憶を今につなぐ」——49年という厚みを持つ「仮面ライダー」というコンテンツだからこそのキーワードだと鈴木は語った。
そのなかで鈴木は、各スタッフを“つなぐ”役割をこなしている。版権元様、お取引先様、商品開発者、店舗で接客を行うスタッフなど、「仮面ライダー」という大きなブランドだけに関わる人も多い。鈴木は店舗運営の中心人物として彼らをつなぎ、「仮面ライダーストア東京」を運営している。
東京駅ならではの商品展開
「仮面ライダーストア東京」で取り扱っている商品の大半は、「ストア限定品」である。オープン記念として販売した限定品『DXスカウティングパンダプログライズキー』は、「仮面ライダーゼロワン」のメインアイテムである『変身ベルト®DX飛電ゼロワンドライバー』と連動するアイテムで、非常に人気の高い商品だという。
ほかにもアパレル商材、キーホルダーなど“おみやげ”となるアイテムも多数取りそろえている。「駅」や「電車」などのモチーフに「仮面ライダー」のデザインをあしらったアイテムや、定番の「お菓子」もある。「ベルト缶クッキー」は、仮面ライダーのベルトをモチーフとした容器にクッキーが入っていて、ほかにも「チョコクランチ」や「ドロップス」などさまざまなお菓子が用意されている。
昨今、仮面ライダーの商品はハイターゲットを意識したものも多い。劇中そのままのライダーたちの姿をしたフィギュアやプラモデル、大人向けのハイクオリティのベルト。食玩などもかなり本格的なフィギュアが販売されている。そういった“大人のユーザー”を獲得するキャラクターのショップで、あえて「みやげもの」的な商品を拡充させる方向性は、店舗のコンセプトとして葛藤はなかったのだろうか。
「ターゲットをどこにするかは迷いました。しかし、やはり東京駅が立地と言うことで、全国から色々な人が立ち寄られるというところがベースです。だからこそ色々な人に、ふと手に取って欲しい。『仮面ライダー』に詳しくない人も手に取ってもらえる商品を最大限に活かしたかったのです」と鈴木は語った。
もちろんコアな仮面ライダーファン向けの商品も用意している。昭和ライダーをモチーフとしたTシャツや、ショップのロゴ入りキーホルダーなどもある。定番のおみやげ商品だけでなく、大人向け商品も取りそろえることで、きちんと「仮面ライダーファン」が来て手に取りたくなるアイテムも用意している。こちらの拡充はまさにこれからのテーマだ。
そんな中、商品のラインアップなどに関しては、店舗からのフィードバックも非常に大きい意味合いを持つと鈴木は語る。店舗スタッフは募集制だったが、面接時には皆が熱い仮面ライダーへの思いを語ってくれたという。ライダーファンの店員が、ライダーファンのお客さまから寄せられる意見を理解し、本部に共有してくれることが今後の運営の大きな糧となる。鈴木自身も積極的に店舗に行き、他の店舗も含め、常に「お客さまの姿」を具体的にイメージできるように努めているという。
新番組「仮面ライダーセイバー」がいち早く味わえる場所
9月から、新番組「仮面ライダーセイバー」の放送がスタートした。それに合わせて、ストアも「仮面ライダーゼロワン」が大きくフィーチャーしていたのをがらりと変え、店舗中央に設置されているゼロワンの立像もセイバーに変えた。セイバーの場合、その名の通り「聖剣」を持っている。設置スペースは限られているうえに、前の道をふさぐような構え方もできない。どういったポーズにするか検討が重ねられたとのこと。
店舗全体のカラーやデザインは、歴代の仮面ライダーにマッチするようにあらかじめ検討しているが、中心である立像を変えることで、がらりと雰囲気が変わるという効果を狙っているとのことだ。歴代ライダーが次々と映し出されるデジタルサイネージを設置しているが、こちらにもセイバーが加わった。また、グッズもセイバーをテーマにしたTシャツやぬいぐるみなどの新商品が続々と登場している。8月にストア限定商品の販売を開始したところ、訪れたライダーファンには大変好評だったという。
増加する女性ファン、
多様なグッズ展開
今回のストア運営にあたり、「プロジェクトチーム」を作った。鈴木が所属するアジアトイ戦略部のほか、商品開発を行うブランドデザイン部、版権元の東映、店舗運営を行うバンダイナムコアミューズメントで構成され、一丸となって運営に取り組んでいる。
これにより、「仮面ライダーストア東京」はアジアトイ戦略部で取得したお客さまの傾向や要望が、そのままお店の商品に留まらず、メインとなる仮面ライダーグッズ開発、さらには番組製作の現場にまで即座に届く仕組みが作られているとのことだ。
「店舗を運営してみて、予想外だったことは?」という質問に鈴木は「女性客の割合の多さ」を挙げる。オールターゲットを掲げている「仮面ライダーストア東京」ではあるが、やはり「仮面ライダーシリーズ」はメインターゲットの男児からの人気が高く、コアなファン層も男性が多いことから、男性客がかなり多いのでは、と予想していたのだが、男女比率として、女性の割合がかなり高い結果となった。およそ4割近くが女性客だという。特に20~30代の女性が多い。今後の商品開発、戦略を考えていくべきテーマとなった。
彼女たちに人気なのは、キャラクターのグッズ。特に、「仮面ライダーゼロワン」に登場する敵役である「滅亡迅雷.net」というキャラクターたちがいるのだが、彼らを演じる役者たちの写真が使われたグッズ、クリアファイルやキーホルダーの人気がとても高いとのこと。
「仮面ライダーストア東京」の今後の展開について
「仮面ライダーストア東京」の今後を考えていくうえで、鈴木はここ数年の世の中の大きな変化について注視している。
スマホの爆発的な普及による、ネットの情報の発信、受け取り方の変化。ネット販売の拡充に、実店舗でのオンライン決済。TwitterやInstagramなどSNSとショッピングの導線、物流の自動化……こういった状況の中、「実店舗の価値と役割」が改めて問われている。だからこそ「仮面ライダーストア東京」は、バンダイにとって大きな存在であり、今後の未来の可能性を提示する存在なのだ。
その上で鈴木は「大事なのはお客さまの笑顔」だと言う。さまざまな可能性、メーカーの今後、仮面ライダーのブランディングなどの意義を持つ「仮面ライダーストア東京」であるが、鈴木の根幹は「お客さまを笑顔にしたい」、人を楽しくさせる、それこそがエンターテインメントだという強い想いがある。そのこだわりは、インタビュー後半で取りあげていきたい。
©石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
©石森プロ・東映
「仮面ライダーストア東京」公式サイトURL:
https://www.kamen-rider-official.com/official_shop/
「仮面ライダーストア東京」公式Twitter:
https://twitter.com/kamenriderstore
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