2020年7月10日
「シュガークローゼット」にフォーカスしたインタビュー後編では企画者・棚瀬のこれまでの歩みと、ライフ事業部の取り組みを取り上げる。>>前編はこちら
棚瀬はバンダイ入社後、女児玩具を手掛ける部署、ガールズトイ事業部に配属された。マーケティングチームに5年間在籍し、その後「たまごっち」のプロモーション、さらに「プリキュア」商品の企画開発チームに所属した。その後、初めての部署異動がライフ事業部だという。
ガールズトイ事業部では番組連動玩具の企画開発を担当した。
「この時に開発していた商品は、光とサウンドギミックが満載の、ハイスペックな玩具でした。お誕生日やクリスマスなど1年に数回のチャンスに選ばれるような特別な商品です。お子さまが待ちに待った日に欲しかった玩具を手に取り興奮する姿を見てきたので、遊びの満足度を高めることはもちろん、"長く遊んでいただけるものになるように"と意識して商品を開発していました。ほかの商品と連動してギミックが変わるのも工夫の1つで、いろいろな遊び方ができ、連動で遊びの幅が広がります。少しでも長い時間をお子さまとともにできるような、大人になったときに思い返してもらえるような特別な玩具をつくる、ということを心がけていました。」
キャラクター商品だからこそ安心できる品質を!
ライフ事業部のこだわり
こうした経験を積んだ後、棚瀬はライフ事業部へ異動となる。
「以前まで開発していた玩具は「特別な日」にようやく手に入る宝物のようなもので、お子さまにとっても「非日常」に近い体験だったと思います。一方でライフ事業部の商品は「日常」のひとコマに寄り添うものなんです。「なんでもない日」でも歯は磨くし、お風呂には入る。そんな中で、例えばシャンプーが好きなキャラクターの形だったり、入浴剤をいれるとマスコットがでてきたり、ハミガキするときにスマホの中でキャラクターが応援してくれたり、いつもの毎日がちょっとだけうれしいものに変わる。それがライフ事業部におけるキャラクターの力なんだと思います。キャラクターが生活に寄り添う。この感覚はこれまでの玩具開発とは違うアプローチでした。」そこに面白さを感じたと棚瀬は言う。
そしてライフ事業部の持つこだわりが「安心・安全」を常に心がける品質の高さである。
入浴剤・シャンプー・ハブラシなど体に直接触れる商品が事業の主軸となっているなか、一般的に「キャラクターものだけど品質は大丈夫かな?」という感覚がひとむかし前はあったように感じる。しかし実際のところ、バンダイの商品は品質面でも高い評価を得ており、例えばシャンプーは『目にしみない』、『しっとりする』など口コミでも評判が良い。
家庭で使い続けるうちに品質の高さ、お子さまに合った使用感へのこだわりが親御さんに評価され、リピート購入に繋がっていく。そして保育園や幼稚園などのコミュニティや、今ではSNSを通じて口コミとして広まっている。お客様の声を受け止めてより良いものを提供する、メーカーとしてのバンダイのこだわりが日用品にも活かされているようだ。
「入浴剤にどのような香りをつけるか、シャンプーにどのような成分を入れるか、処方によって使用感は大きく変わる。バンダイのシャンプーや入浴剤を使ってもらえるのはキャラクターの魅力だけではなく、そういった品質へのこだわりがあり、お子さま・保護者の両方の意見を大事にしているからだと思います」と棚瀬は語った。
子どものイヤイヤをなくし、
子どももパパ・ママもハッピーに
「子どものイヤイヤをなくす」というのはライフ事業部の大きなテーマだ。シャンプーは嫌いだけど、アンパンマンのボトルを見せると、キャラクターが活躍する姿を思い出し、子どももがんばることができる。UVジェル(日焼け止め)は、肌に塗るのを子どもは嫌がるが、大好きなプリキュアの容器だとむしろすすんで塗りたがる。親は健康や衛生のためにやらせたいが子どもは嫌がることを、キャラクターを介することで前向きにやってくれるようになる。キャラクターの力を実感する瞬間だ。バンダイの商品の強みはここにある。親御さんの助けになって欲しいという想いを、ライフ事業部は商品にこめて世に送り出している。
キャラクター商品の多くは、お子さまが「欲しい!」「買って!」と訴えることが多いが、ライフ事業部の商品はパパやママなど保護者の方が「子どもに使ってほしい」というきっかけで買われることも多い。
「シュガークローゼット」はライフ事業部の取り組みを学んだうえで、棚瀬がこれまでのバンダイでの経験を活かした商品だ。玩具としての感動やクオリティを追求しながらも、入浴剤として日常的に手に取りやすい価格、パッケージや売り場での見せ方を考える。商品仕様やデザイン、プロモーションでのフォーカスポイントは2つの事業部での経験が活きたとのことだ。
社内表彰制度「スター賞」の受賞、そしてこれから
バンダイとBANDAI SPIRITSは、積極的なチャレンジを行った社員を表彰する"スター賞"という社内表彰制度がある。棚瀬は「シュガークローゼット」や「UVケアシリーズ」などの新シリーズの立ち上げ、"高付加価値日用品"の創出に大きく貢献したことからスター賞に選出された。
「UVジェル」は弱酸性・無着色と子どもの肌に気を使った処方だが、SPF50+にPA++++と最高クラスの日焼け止め効果がある。さらにウォータープルーフタイプで汗や水にも強い。しかし、せっけんやボディーソープで楽に落とせるという非常に高品質な商品だ。昨今は子どもに対する日焼け止めの需要が高まっており、高品質な商品を提供することで、親の安心と、子どもの安全、つけて楽しいという、親子が嬉しい日焼け止めを作ることができた。
次なる目標として棚瀬が考えているのが「ハイターゲット向け商材」。大人の女性、男性に向け、手に取ってもらえるバンダイの日用品はどういうものか、というテーマだ。少子化という背景だけでなく、キャラクター商品を手に取る年齢層自体が上がっており、特に玩具市場は年齢の高いユーザーもターゲットとして有望となっている。
大人も納得のクオリティ、予想もしない驚きや新しい価値観を日用品と掛け合わせ、ユーザーへ驚きを届けるべく、今企画を練っているところとのことだ。これからの活躍に期待がかかる。
「ライフ事業部の日用品はお子さまとご家族の毎日に寄り添う商品です。お子さまには大好きなキャラクターといっしょにいられる喜びを、親御さんにとってはお子さまの「できる」が増える感動を提供していきたいと思います。
日用品の他にもライフ事業部では大人をメインターゲットとした化粧品や、雑貨品を数多く展開しています。ベビーからシニアまで、その方の人生のどこかで、日常を彩るお手伝いができればうれしいです。」
©BANDAI
©ABC-A・東映アニメーション
シュガークローゼット公式サイト:https://bandai-lifestyle.jp/feature/sc/
キャラフルライフスタイル公式サイト:https://bandai-lifestyle.jp/
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