バンダイ深掘コラム「夢・創造人」

2020年6月26日

Vol.09 キャラクター日用品雑貨創造人<前編>~子どものオシャレ心を刺激する入浴剤「シュガークローゼット」とは~

バンダイのライフ事業部は子ども用シャンプーや歯ブラシ、入浴剤などの日用雑貨品や、ハイターゲット向けの雑貨品、女性向けのコスメやケア用品など、多岐に渡る商品を扱う部署だ。
そのライフ事業部で最近話題になっている商品が、入浴剤の「シュガークローゼット」。
ライフ事業部にとっては新しい挑戦であり、これからの商品の幅を広げるものとなった。
今回はこの商品の企画者・棚瀬に話を聞き、「シュガークローゼット」のこだわりと人気の秘密に迫ってみたい。
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ライフ事業部 棚瀬美波

「シュガークローゼット」は世界的に流行している「サプライズトイ」の流れを汲む"入浴剤"だ。キャンディ型のパッケージを開けると"ペーパー入浴剤"に包まれた商品が出てくる。お風呂に入れると、ペーパー入浴剤が溶け、フリージアの香りが広がる。そしてクローゼットに見立てたケースに入った女の子のドールが現われる。ドールの種類は8種類、どのドールが出てくるかはお風呂に入れてみないとわからない。ここに"サプライズ"の面白さがある。

■シュガークローゼット公式サイト:
https://bandai-lifestyle.jp/feature/sc/

ドールはかわいらしい子から大人っぽい子までさまざま。バラエティに富んだファッション、流行のグラデーションカラーをとりいれた髪色と髪型……リップやアイメイクもドールによって特徴がある。お風呂でドールが現れるところを楽しむのはもちろんだが、フィギュアとして部屋に飾ったり、コレクションする楽しみ方もできる。

「シュガークローゼット」の企画は2018年秋から、1年半近くの時間を費やしたプロジェクトだという。企画のスタートは「ファッション性の高い入浴剤ドールを作りたい」というものだった。

バンダイには、「びっくら?たまご」という累計1億個以上を販売しているロングセラー商品がある。卵のように丸く固めた入浴剤が溶けるとキャラクターのフィギュアや車のおもちゃなどが出てくるところが魅力だが、中に入れられる商品の大きさには制限があり、洋服のディティールなど細かい表現には向いていない。棚瀬は良いアイデアはないかと考えを巡らせていたところ、紙状の入浴剤と出会い、ケースをクローゼットに、ペーパー入浴剤をカーテンに見立てることで新たな魅せ方ができると確信した。

昨今「サプライズトイ」が世界的に人気である。パッケージを開封するまでドキドキ感を味わえる商品カテゴリーで、ぬいぐるみや電子ペットなどさまざまな商品がある。なかでもフィギュアやドールは特に人気だ。人気を集める1つの理由が"ファッション性"。サプライズで出てくるフィギュアは髪型やメイク、着ている衣装、イヤリングやネックレスといったアクセサリーに大きな特徴があり、さまざまなファッションをしたフィギュアの姿が持ち主である女の子の「オシャレをしてみたい」という気持ちを刺激するのだ。

「ファッション性を表現できるドール」、「ペーパー入浴剤」、「サプライズトイ」……いくつもの課題に挑戦する商品として「シュガークローゼット」は生まれることとなったという。

商品の指針として棚瀬が掲げたのが、「入浴剤としての実用性」、「日本の子どもたちに受け入れられやすいデザイン」、「手に取りやすい価格」の3点である。人気を得ているサプライズトイは海外製が多く、センスも欧米風だ。「シュガークローゼット」は日本の子どもたちにより身近に感じられるファッションを提示し、コレクションしやすい価格帯(税込594円)を重視した。

ドールが入っている「クローゼット」と呼ばれるカーテンがデザインされたケースのほか、キャンディの形をした薄い台座も同梱している。ドールはクローゼットに入れた状態で飾ることもできるし、キャンディの台座に乗せて飾ってもいい。もちろん手に持って遊ぶこともできる。色々な遊び方ができるように考えられている。

ペーパー入浴剤はデザインを"印刷"できるところが大きな強みだ。繊細な印刷が可能で、ピンク色のペーパー入浴剤には「SUGAR CLOSET」の文字やスイーツの柄がプリントされていて、とても可愛らしく仕上がっている。

そして主役であるドールは、ファッションを「キュート」、「スポーティー」、「ポップ」、「セクシー」とテーマづけし、いくつものアイデアをデザイナーに描き起こしてもらったとのこと。あえてフィギュアにバックストーリーや性格を設定せず、そのファッションの多様性にフォーカスするようになっている。

服装はブラウス×プリーツスカートの女の子っぽいスタイルから、ロング袖のTシャツ×ショートパンツスタイルのスポーティーな服、フードつきパーカー×ティアードスカートのゆめかわスタイル、フリルカットソー×タイトスカートのおとなっぽいスタイルなど幅が広い。

棚瀬はライフ事業部に所属する前はガールズトイ(女児向け玩具)を担当していた。ある程度ノウハウを掴んでいたつもりだったが、"リアルファッション"の追求については初挑戦だったため、ティーン向けのファッション雑誌などを見て流行のコーディネートを勉強し、社内では若手社員の意見も参考に研究を進めた。

デザインの要素として取り入れた1つの方向性が「アイドルグループ」だ。ビタミンカラーやパステルカラーを使ったポップな雰囲気や、はっきりしたキャラクター性などを参考にした部分は多いとのこと。またグループメンバーを意識し、かわいらしいデザインからセクシーなデザインまで幅を出すことができたと棚瀬は語った。

棚瀬自身、人型フィギュアの商品開発は初めてで「原型師」とともにフィギュアの造形を検討するのも初めての挑戦だった。バランスのよい立ち姿や、フィギュアのポーズなどさまざまなことを学んだという。そして棚瀬が特にこだわったのが"前髪"部分だ。前髪の生え際の位置、分け目の位置、後ろ髪との毛量のバランスなど、オリジナルデザインのドールだからこそこだわれる部分であり、ドール全体の雰囲気を決める重要な箇所でもある。流行のシースルーバングやななめバングの髪の流れ方の表現はリテイクを重ね、特に時間をかけている。

「フィギュアのキャラクターデザインに"共感"を持ってくださったお客さまが多かったですね。」
自分に似た髪型、自分がやってみたかった髪型、顔のほくろの位置が同じなど、共感できる部分をフィギュアに見つけてお気に入りのポイントとしてくれたというユーザーが多かったとのことだ。
多様性の時代だからこそ、シュガークローゼットの中から自分の好みにはまるドールを見つけるのも楽しみの一つだ。

今後の展開に関して棚瀬が構想しているのは「カスタマイズ性」。フィギュアのファッションを交換できるギミックを検討している。フィギュアを揃える事で遊びの幅を広げる展開を考えているとのことだ。第2弾は冬の予定。入浴剤は身体を温めたくなる冬こそがシーズンであり、「シュガークローゼット」第2弾をその時期に投入する予定で企画を進めているとのことだ。どのようなファッションを見せてくれるか、今から楽しみだ。

最後に棚瀬はお客さまに向かって「一日の疲れを癒す寝る前のお風呂。そのときにもう1つ楽しいことが待っている。『シュガークローゼット』は1日の締めくくりにさらに楽しさを加えてくれる入浴剤です。フリージアの香りに癒やされながら、ぜひ自分の好みの子を見つけていただきたいです」と語りかけた。

©BANDAI

シュガークローゼット公式サイト:https://bandai-lifestyle.jp/feature/sc/
キャラフルライフスタイル公式サイト:https://bandai-lifestyle.jp/

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