夢・創造人だより

Vol.03 バンダイ災害時こども応援活動企画人

バンダイでは、安全安心なものづくりはもちろん環境に配慮したものづくり、次世代教育を始めとしたさまざまなサステナビリティ活動を推進しています。今回はこの中で新たにスタートした「バンダイ災害時こども応援活動」について、企画担当者がかける思いとともに実現までの紆余曲折をつづりました。

  • Vol.03 バンダイ災害時こども応援活動企画人
  • 困っている子どもたちのためにバンダイができることとは?

    皆さん、初めまして。バンダイがサステナビリティ活動の一環としてスタートした、「バンダイ災害時こども応援活動」に立ち上げから参加している小林と申します。

    私たちはこの活動の最初の取り組みとして、子ども支援のグローバルなNGO機関であるセーブ・ザ・チルドレンのご協力のもと、「避難生活下でも遊べるオリジナルのおもちゃ」を提供することにしました。これは、被災地への支援品としてセーブ・ザ・チルドレンが現地に届けていらっしゃる「緊急子ども用キット」に、バンダイが企画・製造したおもちゃを同梱していただくというものです。

    この活動の始まりは、コロナ禍で子どもたちの学校が全国一斉休校になってしまい、自宅待機を余儀なくされた2年前にさかのぼります。私たちは当時、突然いつもとは違う生活を強いられることになった子どもたちのためにできることを考え、「おうち時間」で楽しめる遊びを動画やSNSで発信しました。
    そこから発展して、災害時などで困っている子どもたちのためにバンダイができること、そのアイデアを全社員から募集し実現するというプロジェクトがスタートしました。その際、子ども支援活動の専門家の声として、セーブ・ザ・チルドレンにお話を伺ってみると、災害の影響を受けた子どもにとって、「遊び」は、日常を取り戻し、健全な心身の発達とこころの安定、子どもの潜在能力の促進をサポートするために重要であること、しかしその認知度の低さが課題になっていることもわかり、私たちにも何かができるんじゃないかという思いは確信に変わっていきました。

    支援品としてご提供することになったおもちゃは2種類で、セーブ・ザ・チルドレンからのアドバイスにより、場所を取らずに遊べ、ストレス解消につながる点を重視して企画しました。1つめは空気を入れ膨らませて遊ぶ「空気ビニール人形」。柔らかくクッション性があって、ぎゅっと抱きしめることもできますし、空気を抜けば狭いところでも邪魔になりません。2つめは、手のひらでぎゅっと握って遊べて、ストレス解消にも効果的と言われる「スクイーズ人形」です。子どもに寄り添える仲間として、そして小さなお子さんだけでなく、大人や高齢者方にもとっても、少しでもストレス解消につながればという思いで開発しました。

  • 子どもたちに笑顔を届けたい

    今回のおもちゃは、子どもたちに笑顔になってもらいたいという大前提のために、そのキャラクターデザインにも非常にこだわっています。オリジナルキャラクターの『おとどけ!コロコロパワーズ!』は、子どもたちに親しみのある「いきもの」と、ガシャポンのカプセルがモチーフ。『太鼓の達人』の「どんちゃん」を描いているイラストレーターの横尾有希子さんに可愛く描いていただきました。モチーフとなる「いきもの」は、例えばフクロウであれば“福が来る”という意味があったり、テントウムシは漢字で“天道虫”と書いて幸福につながる意味を持っていたり。どれも、日本でも古来より幸せも呼ぶなどとして親しまれている動物や昆虫などから選んでいるんですよ。

    ちなみに私にとって、「バンダイ災害時こども応援活動」の原点となったのが、2016年の熊本地震の時の出来事でした。バンダイでは、以前よりおもちゃを通じて子どもたちに環境配慮などの取り組みを小中学校で教える「出前授業」を行っているのですが、この「出前授業」で行っているワークショップを通じて子どもの被災地支援に参加した経験があるんです。当時は災害から半年ほど経った時期でしたが、現地はまだまだ復興ができていない状況で……参加していた医療団の方からも、被災地の子どもたちが抱えるストレスのケアが必要だというお話を伺いました。そういった経験から、子どもの笑顔を取り戻すための支援を個人的にもぜひ実現したいという強い思いがあったんです。

    「バンダイ災害時こども応援活動」では、被災した子どもたちにおもちゃを届けることで笑顔になってもらいたい、という思いが一番にあります。その次に、この活動を広く知ってもらうことによって、災害時の子どもの遊び場づくりの重要性をより多くの人に知ってもらえればという思いもあります。今後はガシャポンの自販機を積んだ「ガシャポントラック」を派遣し、回すこと自体がワクワク感などの遊びを演出できるガシャポン自販機を通じて子どもたちへ支援品をご提供する取り組みも検討中です。たくさんの子どもの笑顔につながるように、今後もさまざまな活動を継続していきます!

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