バンダイ・BANDAI SPIRITS CHALLENGERS STORIES
ガンプラが生み出す新たな可能性
「ガンプラ
リサイクルプロジェクト」
未来・クリエイション アンバサダー
岡崎紗絵
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「ガンプラリサイクルプロジェクト」
担当社員 対談
バンダイ・BANDAI SPIRITSでは、2023年3月よりサステナビリティプロジェクト「未来・クリエイション」を立ち上げ、2社の企業スローガン「夢・クリエイション」を未来につなげるために様々な活動を行ってきました。今回はその取り組みのひとつである「ガンプラリサイクルプロジェクト」にスポットを当てます。
未来・クリエイション アンバサダーの岡崎紗絵さんの進行のもと、バンダイホビーセンターの阿南さん、竹島さんに、プロジェクトにかける想いや苦労話などについてお伺いしました。
未来・クリエイション アンバサダーの岡崎紗絵さんの進行のもと、バンダイホビーセンターの阿南さん、竹島さんに、プロジェクトにかける想いや苦労話などについてお伺いしました。
今回お話し
頂いたのは…
-
岡崎 紗絵さん
Sae Okazaki俳優として数多く映画・ドラマ作品に出演。モデルとしても雑誌「Ray」の専属モデルを務める等、幅広く活躍中。2023年3月「未来・クリエイション」アンバサダー就任。
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阿南 大貴
Daiki Anan株式会社BANDAI SPIRITS
ホビーディビジョン
クリエイション部 金型・成形チーム -
竹島 沙貴
Saki Takeshima株式会社BANDAI SPIRITS
ホビーディビジョン
クリエイション部 生産戦略チーム
01
年間21t以上の
回収量を誇る
「ガンプラリサイクル
プロジェクト」
01
年間21t以上の回収量を誇る
「ガンプラリサイクルプロジェクト」
- 岡崎:
- バンダイナムコグループが4社共同で行なっている「ガンプラリサイクルプロジェクト」について教えてください。
- 阿南:
- ガンダムのプラモデル、通称「ガンプラ」は、1980年の発売以来おかげさまで世界中で人気のプラモデルになりました。累計出荷数は7億個超を誇ります。
多くのファンの方に楽しんでいただいているガンプラですが、パーツを組み立てた後にランナーという枠の部分が不要となります。素材がプラスチックのため、可燃ゴミとして出してしまうとCO2排出など環境問題の要因となってしまう。このランナーを無駄にせず、資源化しようというのが「ガンプラリサイクルプロジェクト」です。
- 竹島:
- 全国に約200か所ある回収ボックスでランナーを集めています。回収したランナーは、ガンプラの生産工場であるバンダイホビーセンターに集約し、工場内で生産時に排出されるプラスチックと合わせてリサイクルしています。
- 岡崎:
- 工場内でのリサイクルに加え、お客さまから集めたランナーもリサイクルしているなんてすごいですね!
- 竹島:
- 「ガンプラリサイクルプロジェクト」は2021年にスタートして、年間で約11tもの回収量となりました。2022年度は約21tと倍近くに増え、2023年度は30tの見込みです。年々認知度が高まっていることを実感しています。
- 岡崎:
- キッザニア東京の「おもちゃ工場」パビリオンで、カプセルトイのリサイクルからパックマンのおもちゃを作り出している様子を拝見しました。カプセルのリサイクルもお客さまから回収する取り組みですよね。バンダイ、BANDAI SPIRITSではお客さまとのつながりを大切にされているんだなあと改めて実感しますね。
02
回収したランナーが
ガンプラとして
生まれ変わるまで
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回収したランナーが
ガンプラとして生まれ変わるまで
- 岡崎:
- ガンプラリサイクルの流れや内容を具体的に教えていただけますか?
- 阿南:
- 全国の「namco」をはじめとするアミューズメント施設や公式ガンプラ総合施設「THE GUNDAM BASE」などに回収ボックスを設置しています。そういった施設には日頃から商品をバンダイロジパルの配達トラックで納品しているので、そのトラックが、帰路にランナーを回収することで、運搬時にかかる余分なCO2を出さない仕組みとなっています。回収後は、同じ素材ごとに仕分けを行っていきます。
- 竹島:
- 実はランナーも、パーツごとにプラスチックの配合の違いなどによる種類があるので、仕分けた方がリサイクル後の成形が安定するんです。また、稀に自社製品以外のプラモデルのランナーが誤って混在してしまうことがあるので、それもしっかり分別していきます。
- 阿南:
- 分別したランナーは細かく粉砕し、粒状のペレットにして、その後熱で溶かし金型に入れてプラモデルを成形します。
-
ガンプラリサイクルプロジェクトでは、
マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルという
3つのリサイクル方法に取り組んでいる
- 岡崎:
- 私も身の回りのものをリサイクルするように心がけているのですが、どうリサイクルされてどんな商品になるか?というところまでは一般の人には見えづらいと思います。その点、ランナーのリサイクルはガンプラになるという点が明確なので、お客さまも協力しやすいでしょうね。
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リサイクル試作品に
絶望…。
発想の転換で
唯一無二の
製品&企画に
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リサイクル試作品に絶望…。
発想の転換で唯一無二の製品&企画に
- 岡崎:
- 本当に素敵なリサイクルプロジェクトですが、ここまで来る過程で難しかった点や苦労したポイントなどはありますか?
- 竹島:
- ランナーにはさまざまな色が付いているので、回収したランナーも当然その時々でさまざまな色が混ざっています。絵の具を混ぜる時を想像してもらえばわかりやすいのですが、青や赤、オレンジ、黄色、黒、白…と分量を考えずにすべてを混ぜると、その時によってバラバラな色ができあがりますし、かつ黒、グレー、茶、といったダークカラーになります。ガンプラリサイクルも同じで、金型から出てくる成形品はすべてダークカラーで、色もその時によって微妙に異なるんです。
- 阿南:
- 自分たちは常に安定した商品を届けることを心がけていますから、リサイクルからできあがった成形品を最初に見たときに、「これはお客さまが喜んでくれるのか…?」「どうやったら安定した色が出るのだろう…?」と途方に暮れたことを覚えています。
- 岡崎:
- そうだったのですね。でも私から見ると「世界で一つだけの個性的なカラーのガンダムができあがるんだ!」と感じて、とても素敵なことに思えたのですが。
- 阿南:
- ありがとうございます。岡崎さんと同じようにおっしゃってくださる声もあり、私たちもやっと自信を持つことができたのです。今では、商品の一部にリサイクル素材を使用したプラモデル「エコプラ」として製品化し、イベントや小学校の授業「ガンプラアカデミア」で無料配布をしたり、10商品ほど販売しています。
- 竹島:
- 2021年から開始した小学校向けのプラモデル授業「ガンプラアカデミア」は、プラモデルの製造工程や各セクションの役割など、プラモデルの生産に関わる様々な職種についてキャリア教育の一環として学べるとともに、私たちが行っているリサイクル活動の紹介を通して「持続可能なものづくり」を知るきっかけになるような内容です。また、リサイクル素材を使ったガンプラをキットとして使い、リサイクルについて学びを深められる授業も選択できるようになっています。
- 岡崎:
- ガンプラを題材にしながら、ものづくりの工程や持続可能な社会への取り組みまで知ることができるのですね。授業の中でも楽しみながら学んで体験できるなんてうらやましいです。
- 竹島:
- これまでに小学校7,000校50万人を超える児童のみなさんが参加してくださっており、「ものづくりを学ぶことができる」「仕事についての理解が深まった」「リサイクルを通したサステナブルに興味がわいた」など好評の声をいただいています。私たちもそうした反響がとても嬉しいですね。
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ファンと繋がる
イベントの開催で
サステナビリティの
輪が広がる
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ファンと繋がるイベントの開催で
サステナビリティの輪が広がる
- 岡崎:
- ちなみに、「ガンプラリサイクルプロジェクト」は、年々回収量が増えているそうですが、何かきっかけがあったんでしょうか?
- 阿南:
- ひとつは、公式サイトやSNSで発信し、知ってもらう機会が増えたことが挙げられます。もうひとつは、「ガンダムR作戦」などのイベント時に、ガンプラリサイクルについてPRしたことも影響してくれたかなと考えています。
- 竹島:
- 「ガンダムR作戦」は、全国のショッピングモールのイベント会場などで開催しているリサイクル体験会です。「エコプラ」の組み立て体験キットもプレゼントしているので、その場で作っていただいたり、不要になったランナーを回収ボックスに入れていただいたりして、ガンプラが循環していく過程を体験することができます。
- 岡崎:
- 楽しそうですね!自分たちが循環型社会の役に立っていることを実感できるイベントだと感じました。
- 竹島:
- 私たちも、イベント時にお客さまとガンプラのことやリサイクルについてお話できることがモチベーションになっています。今後は、ランナーを色別にリサイクルしてカラーバリエーションを増やすなどの挑戦もしていきたいです。
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ランナーで作ったガンダムヘッドの画像
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子どもの頃から
バンダイの商品が好き。
ワクワクを届けたい!が
サステナビリティに
取り組む原点
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子どもの頃からバンダイの商品が好き。
ワクワクを届けたい!が
サステナビリティに取り組む原点
- 岡崎:
- ちなみに、お二人は何がきっかけで入社されたのですか?
- 阿南:
- 子どものころからガンプラが好きだったんです。一度は別の会社に入社したものの、「好きな気持ちを活かして働きたい」という思いが募って転職しました。
- 竹島:
- 私はバンダイのたまごっちが大好きで毎日のように遊んでいました。私が感じていたように、人をワクワクさせるものづくりをしたいと思いました。
- 岡崎:
- 世界中のファンに向けたガンプラの製造に携わる傍らで、お話しいただいたようにサステナビリティに取り組んでいるお二人は、サステナビリティに対してのアンテナが高そうですね。
- 阿南:
- 身近なものにおいても、日ごろからこれをリサイクルできないかな?と思うようになりました。例えばプラモデルの箱だとか、梱包材であるプラスチックの袋とか、ペットボトルの本体や蓋、さらには木の葉なども「これを製品に活用できないかな?」と日々考えてしまいますね(笑)。
- 竹島:
- 実は、そうして生まれた製品があるんです。
これは卵の殻から生まれたガンプラです。産業廃棄物として排出される卵の殻を一部に使用した新素材で、製品中の石油由来プラスチック比率を抑えています。
- 岡崎:
- 卵の殻がガンプラになっているなんて!驚きですね。
- 竹島:
- ほかにも、石灰石を主原料とする日本初の新素材LIMEX(ライメックス)を使用した恐竜モチーフのプラモデルや、ガンプラも商品化しました。
- 岡崎:
- 石灰石は、チョークなどに使われている素材ですよね。
- 竹島:
- そうなんです。こういった代替素材については石油由来プラスチックの使用量削減や、CO2の排出削減に貢献できる取り組みなので、今後さらに発展させていきたいと考えています。
06
リサイクル
プロジェクトを
通じてファンとの
繋がりを実感
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リサイクルプロジェクトを通じて
ファンとの繋がりを実感
- 岡崎:
- 「ガンプラリサイクルプロジェクト」についてお話を伺い、私自身学びが深まりました。
- 阿南:
- 最後に伝えたいことがあります。バンダイ・BANDAI SPIRITSでは、企画、設計、原料調達、金型、成形、デザインなどさまざまな担当があって、互いに協力をしてものづくりを行っています。
同じように「ガンプラリサイクルプロジェクト」も、店舗からランナーを回収する人がいて、仕分けする人がいて、各担当で何度も試行錯誤を繰り返しながら、連携してプロジェクトを形にできました。関わってきた人全ての力があったからこそ実現できたので、協力しあって取り組むことがいかに大切かということを実感しています。
- 竹島:
- お客さまの協力なしには成立しない取り組みなので、これからもファンの皆さんとつながりながら「ガンプラリサイクルプロジェクト」をさらに前進させていきたいです。
- 岡崎:
- 多くの人の力を合わせることは、サステナブルな社会を作り出すことに欠かせないと改めて実感しました。ありがとうございました。
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